No.104新着 樹木希林 脇で光り、主演にもなった、映画の最晩年
樹木希林(1943〜2018)は、日本アカデミー賞の主演と助演の両方で最優秀賞を受けた数少ない女優である。『歩いても 歩いても』『あん』『万引き家族』などをたどり、亡くなった年に3本が公開された晩年を整理する。
本文と出典
あらまし
樹木希林は1943年1月15日に生まれ、2018年9月15日に75歳で亡くなった女優である。映画の出演作は多く、助演で名を知られたあと、晩年は主演作も増えた。ここでは映画の仕事に絞って書く。
主なできごと
・1991年 『大誘拐 RAINBOW KIDS』で中村くら役
・2004年 『半落ち』で島村康子役
・2007年 『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』でオカン役
・2008年 是枝裕和監督『歩いても 歩いても』
・2010年 『悪人』
・2012年 『わが母の記』
・2013年 『そして父になる』
・2015年 『あん』『海街diary』
・2018年 『モリのいる場所』『万引き家族』『日日是好日』
・2019年 死後に『エリカ38』が公開される。自ら企画した作品とされる
映画の仕事
映画の出演作には、母や祖母、近所の老女の役が多い。ただ、同じ「年配の女性」でも、役の色はまちまちである。『東京タワー』では、息子を思う母(オカン)だった。『悪人』では清水房江、『わが母の記』では伊上八重、『そして父になる』では石関里子を演じた。是枝裕和監督の『歩いても 歩いても』では、横山とし子の役である。『あん』では、元ハンセン病患者の吉井徳江を演じた。
助演から主演へ
『歩いても 歩いても』の横山とし子、『海街diary』の菊池史代、『海よりもまだ深く』の淑子(2016年)など、是枝裕和の作品には家族の中の年配の女性として何度も出ている。一方で、『わが母の記』の伊上八重や『あん』の吉井徳江は物語の中心に立つ役だった。2016年の優秀主演女優賞(『あん』)と、2008年・2013年の最優秀主演女優賞が示すように、立場が助演から主演へ広がっていった。
ドキュメンタリーなど
劇映画のほかに、2014年のドキュメンタリー『神宮希林 わたしの神様』にも関わった。ナレーションを務めた作品に、2016年の『人生フルーツ』と2017年の『光』がある。顔を出さない声の仕事でも、映画に参加していたことになる。2015年には、東京国際映画祭でARIGATO賞を受け、2018年にはなら国際映画祭の特別功労賞も受けている。
賞
日本アカデミー賞では、主演と助演の両方で最優秀賞を取っている。最優秀主演女優賞は2008年の『東京タワー』と2013年の『わが母の記』、最優秀助演女優賞は2011年の『悪人』と2019年の『万引き家族』である。優秀主演女優賞は2016年の『あん』。ブルーリボン賞の助演女優賞とキネマ旬報ベスト・テンの助演女優賞は、2008年から2009年にかけて『歩いても 歩いても』で受けている。ナント三大陸映画祭では2009年に最優秀女優賞を受けた。
晩年
2018年には、『モリのいる場所』『万引き家族』『日日是好日』が公開された。『日日是好日』では茶道の先生の武田先生役を演じた。『万引き家族』では柴田初枝役である。この作品で、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を、没後の2019年に受けた。『エリカ38』は、自ら企画して手がけた作品で、公開は亡くなったあとである。ドイツ語圏の作品『命みじかし、恋せよ乙女』(2019年)が、唯一の海外制作映画出演とされる。
なぜ今も語られるのか
一つは、亡くなった年に出演作が複数あったことである。観客は、ほとんど同時期に3本の別人を見ている。もう一つは、映画観の語り方である。2008年のキネマ旬報のインタビューで、脚本を第一に、監督を二番目に置く映画づくりの考え方を語ったとされる。出演者としての立ち位置がはっきりしている。
評価の分かれる点
今回確かめた範囲では、演技そのものへの強い批判は見つからなかった。ウィキペディアは、個性豊かな演技で高い評価を受けたと書いている。論点になりうるのは、「自然な演技」という評価の中身だと考える。台本どおりの再現ではなく、現場での即興に近い自然さと見る人もいれば、緻密な設計の結果と見る人もいる。この点について、確かめられた出典はまだない。
くらさんの考察
主演と助演の両方で最優秀賞を取っているという事実から、この人は「脇で光る」だけの俳優ではなかったと考えられる。主演であれ助演であれ、画面の一人として出ることを大事にしていたのではないか。これは、映画づくりを脚本から考える姿勢とつながると思う。ただし、本人の考えを直接確かめたわけではなく、推測である。
ジージへの問いかけ
・樹木希林の映画で、いちばん心に残っている役は何でしょうか。
・昔のテレビや映画で、今と違う印象の樹木希林を見た覚えはありますか。
・「脇で光る」俳優とは、どんな人だと思いますか。
出典
・ウィキペディア「樹木希林」 https://ja.wikipedia.org/wiki/樹木希林
動画
・女優、母、そして樹木希林~秘蔵映像でつづるアンソロジー~ PR動画(NHKスクエア【公式】)https://www.youtube.com/watch?v=VPNoFURNG8I
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この記事を読んで浮かんだ疑問は、運営者ジージが映画QAでくらさんに質問し、答えをそこに載せていきます。