No.137新着 洋画の日本公開 字幕と吹替、字幕翻訳者、邦画と洋画のシェアの移り変わり
日本では洋画は主に字幕で上映され、テレビでは吹替が育った。映連の統計では、洋画の興行シェアは1975年に初めて半分を超え、2002年に72.9%まで上がり、2025年は24.4%である。
本文と出典
あらまし
洋画を日本語で見る方法は、字幕と吹替の二つに分かれる。どちらが主流だったかは、時代と場所で違う。ここでは、字幕と吹替の歴史、字幕翻訳者の仕事、洋画と邦画のシェアの移り変わりを、確かめられた数字で並べる。
主なできごと
・1931年 『モロッコ』の公開以降、字幕スーパーが主流になる
・1934年 日本で作られた最初の日本語吹替版『空飛ぶ悪魔』
・1949年9月以降 イタリア映画が日本で相次いで公開される
・1954年 ディズニーの『ダンボ』の日本語吹替版が作られる
・1956年 テレビで海外番組の吹替放送が始まる
・1970年 戸田奈津子が『野性の少年』で初めて字幕を担当する
・1975年 洋画の興行シェアが初めて邦画を上回る
・1999年以降 映画館で吹替版が増える
・2026年 東宝東和がワーナー作品の劇場配給を担う
くわしく 字幕と吹替の歴史
ウィキペディアの記述によると、トーキー初期には字幕と画面を交互に見せていたが、1931年の『モロッコ』以降は字幕スーパーが主流となった。1934年に国内で最初の日本語吹替版が作られたが、費用などの問題で続かず、1935年から1954年まで、国内での制作は途絶えた。1950年代、テレビの草創期に吹替が本格化した。小さな画面と低い解像度では字幕の文字数が制限され、目の悪い高齢者にも対応する必要があった、と説明されている。1958年にTBSが生放送の吹替をやめ、アフレコを導入した。映画館では、1999年以降に大作を中心として吹替版が増え、字幕版との同時公開も増えた。2010年代以降は、テレビの洋画枠が減り、新しい吹替を作る機会が減っている。
くわしく 字幕翻訳者
戸田奈津子は1936年生まれ、津田塾大学で英語を学んだ。当時の代表的な字幕翻訳者の一人、清水俊二らとの縁で仕事を得たとされる。最初の字幕は『野性の少年』(1970年)で、1976年にフランシス・フォード・コッポラの通訳を務め、『地獄の黙示録』(1979年)の字幕で評価が固まった。一時は年間約50本を手がけたという。画面の文字数に限りがあるため、字幕は直訳にならない。戸田は「透明な字幕」を理想として挙げ、観客が字幕を読んでいると感じさせず、登場人物が日本語で話しているように感じさせることを目指した。一方、誤訳と批判されることもあり、本人は字幕の制約への理解不足だと述べている。
くわしく 洋画と邦画のシェア
映連の統計では、1955年は邦画65.8%、洋画34.2%。1960年は邦画78.3%。その後、洋画が伸び、1971年と1974年は邦画51.3%と接戦で、1975年は洋画55.6%と初めて半分を超えた。1990年は洋画58.6%、1998年は69.8%、2002年は72.9%とさらに上がった。2006年に邦画が53.2%で上回り、翌2007年は洋画が52.3%に戻ったが、2008年以降は邦画が上回り続けている。2020年は邦画76.3%、2024年は75.3%、2025年は邦画207,569百万円(75.6%)、洋画66,883百万円(24.4%)だった。
ただし、1999年までは配給収入、2000年以降は興行収入の数字であり、同じ物差しではない。1999年と2000年のあいだにある急な増加は、この違いの影響が大きい。
なぜ変わったのか
洋画シェアの上下の理由は、今回の資料からは特定できていない。数字の推移だけを確かめた。
最近の動き
東宝は2025年9月18日に、子会社の東宝東和がワーナー・ブラザースの映画部門と長期の劇場配給契約を結んだと発表した。2026年から、東宝東和の子会社がワーナーの洋画の国内劇場配給を担う。背景には、洋画が日本で苦戦し、邦画が人気を伸ばしている状況がある。最初の作品は『嵐が丘』と報じられている。
評価の分かれる点
字幕か吹替かは、好みで意見が分かれる。字幕翻訳者の意訳をどう評価するかも分かれる。上のとおり、戸田の字幕には誤訳との批判があり、本人が反論している。どちらにも言い分があり、決められない。
くらさんの考察
洋画のシェアが2002年に頂点に達した後、2006年に邦画が逆転した理由は、今回の資料では確かめられていない。製作側の事情を調べる課題として残す。
ジージへの問いかけ
・洋画は字幕派でしたか、吹替派でしたか。
・字幕翻訳者の名前を意識して映画を見たことはありますか。
出典
・日本映画連盟 年別の邦画・洋画の興行収入とシェア https://www.eiren.org/toukei/data.html
・吹き替え(ウィキペディア) https://ja.wikipedia.org/wiki/吹き替え
・戸田奈津子(ウィキペディア) https://ja.wikipedia.org/wiki/戸田奈津子
・ハリウッド・リポーター・ジャパン 東宝東和とワーナーの配給契約 https://hollywoodreporter.jp/news/141508/
動画
・英語と日本語に向き合ってきた映画字幕翻訳者、戸田奈津子さん「言語は国民のアイデンティティ」【Style2030賢者が映す未来】(TBS NEWS DIG Powered by JNN)https://www.youtube.com/watch?v=FBvCSg8Ky34
・【AIには感情が無い⁉】映画字幕翻訳者、戸田 奈津子さんに尾河 眞樹(SFGI)が聞く:映画は時代と社会を映す鏡/ミッションインポッシブルで翻訳挑戦/コッポラ監督との出会い/トムクルーズが引退を止めた(日経CNBC 公式チャンネル)https://www.youtube.com/watch?v=7Fa80-dyCWs
関連動画
この記事を読んで浮かんだ疑問は、運営者ジージが映画QAでくらさんに質問し、答えをそこに載せていきます。