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No.71新着 映画ができるまで 企画から公開までの道のりと、製作委員会方式という日本の仕組み

映画は企画、資金集め、撮影準備、撮影、仕上げ、配給、公開の順に進む。日本では複数の会社が出資する製作委員会方式がよく使われ、製作側と配給側でお金の流れが分かれる点に特徴がある。

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登録日時
2026年10月29日 13:38
出典を確かめた日
2026年10月29日
分野
映画の作り方
立場
事実・データ
タグ
邦画新着数字・統計新着
作品・人物
製作委員会、プロデューサー、配給会社、映画倫理機構
資料の種類
事典・概説
年代
1990年代以降

本文と出典

あらまし

映画館で観る一本の映画は、撮影の何倍も長い準備と、撮影のあとの長い仕上げを経てできている。大きく分けると、企画開発、資金調達、プリプロダクション(撮影の準備)、撮影、ポストプロダクション(仕上げ)、配給、の六つの段階がある。ここでは、この流れを順に追い、日本で広く使われる「製作委員会方式」が何を変えたのかを見る。

主なできごと

・1950年 日本の映画業界で、配給会社が映画館に複数作品をまとめて売るブロックブッキングに、公正取引委員会が違反の審決を出した(詳しくは「配給と宣伝」の回)
・1991年 アニメ映画の番組で「製作委員会」という言葉が使われていたとされる
・1995年 テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』が、アニメでの製作委員会方式の広がるきっかけになったといわれる
・2000年度 配給収入の発表が終わり、以後は興行収入の発表に切り替わった
・2025年 全国のスクリーン数は3,697で、そのうち3,305がシネコン

くわしく 企画から撮影の準備まで

最初は企画である。原作があるなら権利者の許諾を得る。脚本家を選び、筋の概要、予算の見積もり、収支の見込み、企画書をつくる。監督や主な出演者の候補もこの段階で考える。原作者、脚本家、監督は、それぞれ法律上の権利が違う。ここで権利の整理がつかないと、製作が止まる、あるいはお蔵入りになることがある。
次が資金集めである。お金の集め方は二つある。出資は、映画が黒字なら出資の割合に応じて配当を受け、赤字なら受け取れない。融資は、興行がどうなっても返済しなければならず、配給する権利を担保に借りることが多いという。
資金のめどが立つと、撮影の準備に入る。決定稿(最終版の脚本)を固め、出演者を決め、スタッフを雇い、撮影日程を組む。ロケハン(撮影場所探し)、美術や衣装の打ち合わせ、予算会議、リハーサルもここに入る。作品の規模でスタッフの数は変わるが、監督、助監督、プロデューサー、撮影、美術、衣装、録音などが中心になる。

くわしく 撮影と仕上げ

撮影は、撮影所でのセット撮影と、屋外でのロケに分かれる。一つの場面ごとに、現場の準備、俳優の動きの確認、撮る順番の決定、テスト、本番、確認と進む。全員が「香盤表」という進行表に沿って動く。撮影期間は平均で一〜三か月程度とされる。撮影の開始を「クランクイン」、終了を「クランクアップ」と呼ぶが、これは日本だけで使われる和製英語である。
撮影が終わると仕上げに入る。映像の編集、特殊効果、字幕などの文字入れをする。音は、台詞を整える整音のあと、音楽、効果音、ナレーションを加え、ミキシングで映像と合わせる。

くわしく 製作委員会方式

日本の映画の製作費は数千万円から数億円かかる。このリスクを分けるために、複数の会社が出資する製作委員会方式がよく使われる。出資するのは放送局、映画会社、制作会社、広告会社、出版社、レコード会社、芸能事務所、玩具やゲームの会社などで、中心になって動く幹事会社がある。利益は出資の割合で分ける。著作権は出資者が共有する。
この方式は、もとは映画業界で、企画に関わる会社を指す言葉だった。アニメ映画の番組では1991年ごろには使われていた。1995年の『新世紀エヴァンゲリオン』が広がるきっかけになったとされ、1999年ごろからアニメのクレジットに製作委員会の名が増えていったという。
弱点もある。製作委員会は法律上、民法の任意組合として扱われることが多く、出資者は無限責任を負う。このため機関投資家が入りにくいという。著作権を共有するので、権利の管理も複雑になる。リスクを限る方法として、特別目的会社(SPC)や有限責任事業組合(LLP)を使う例が増えているという。

くわしく 配給と公開、お金の流れ

できあがった作品は、配給会社が複製して映画館に貸し出す。配給会社は映画館と上映の条件を取り決める。興行収入は映画館の入場料の合計で、配給収入は映画館が配給会社に払う「映画料」の合計である。配給収入は興行収入のおよそ半分程度とされる。国内作品では、配給収入から配給手数料と宣伝費などを引いた残りが製作側に戻る。製作費を引いた残りが作品の利益になる。映画館の上映が終わると、テレビ放送、配信、DVDなどに広がる。
公開の場であるスクリーンは、映画産業団体連合会の統計では1960年の7,457が最多で、1993年に1,734まで減り、その後シネコンの増加で回復した。2025年は3,697である。

なぜ今も語られるのか

映画は一人で作るものではなく、お金を出す人、作る人、届ける人が分かれている。この分業のかたちが国や時代で違うので、作品の性格も変わる。製作委員会方式は、出資者が多いほど一社あたりの負担は軽くなる反面、企画を通すのに多くの合意が要る。日本の映画の企画が、人気の原作やテレビと組んだものに寄りやすいのは、この仕組みと無関係ではないと考えられる。ただし、これは本稿で数字で確かめたものではない。

評価の分かれる点

製作委員会方式の評価は分かれている。リスクを分散できる点を評価する見方がある一方、権利の管理が複雑になることや、下請けの多層化で現場に負担が及ぶことを問題にする見方がある。参照した事典には、アニメーターの報酬が低くなる、声優への支払いが遅れるといった指摘が書かれている。ただし、これは一つの事典の記述であり、個別の事例までは確かめていない。

くらさんの考察

制作費の回収が映画館の興行だけではなくなったことが、製作委員会方式の定着を後押ししたと考えられる。ただし、この点は本稿の出典では確かめられていない。確かなのは、日本の映画の資金が一社で背負うものから、複数社で分けるものへ広がってきたことである。

ジージへの問いかけ

・映画館に通っていた頃、映画の最初に出てくる会社名や「製作」の文字を、気にして見ていたでしょうか。
・昔の映画会社が一社でぜんぶ作っていた頃と、いまの作り方では、観る側として作品の味わいに違いを感じますか。

出典

・映画製作(Wikipedia) https://ja.wikipedia.org/wiki/映画製作
・製作委員会方式(Wikipedia) https://ja.wikipedia.org/wiki/製作委員会方式
・映画配給会社(Wikipedia) https://ja.wikipedia.org/wiki/映画配給会社
・日本映画製作者連盟 統計 https://www.eiren.org/toukei/data.html
・「東宝」「東映」に「大映」が負けたのはなぜか(マネー現代、2022年11月3日) https://gendai.media/articles/-/101637

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