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No.77新着 映倫とレイティング 検閲ではなく、映画界の自主規制という仕組み

映倫は映画界が設けた第三者による審査機関で、公開前に作品をG、PG12、R15+、R18+に分ける。成り立ちには占領期の検閲と、1956年の太陽族映画をめぐる批判がある。

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登録日時
2026年10月29日 13:38
出典を確かめた日
2026年10月29日
分野
映画の作り方
立場
事実・データ
タグ
邦画新着数字・統計新着
作品・人物
映画倫理機構、太陽の季節、日活ロマンポルノ、石原慎太郎
資料の種類
事典・概説
年代
1949年、1956年、2009年

本文と出典

あらまし

映画倫理機構、通称「映倫」は、公開前の映画を審査して、どの年齢層向けかを区分する機関である。国の機関ではない。映画界が自ら作った仕組みで、運営は映画界の外の人が担う。ここでは、映倫の成り立ち、四つの区分、検閲との違いを、映倫の公式ページと事典で確かめた範囲で整理する。

主なできごと

・1949年 映画界が「映画倫理規程」を制定し、管理委員会(旧映倫)を発足させる
・1956年 『太陽の季節』などの「太陽族映画」が社会問題になる
・1956年12月 外部の有識者が委員を務める新しい映倫が発足する
・1976年 一般映画制限付(R指定)が導入される
・1980年 日活ロマンポルノ裁判で、裁判所が映倫を評価する
・1998年5月 PG12が導入され、R指定がR-15、成人指定がR-18に改称される
・2009年 映画倫理委員会に改称し、区分の名称をG、PG12、R15+、R18+にそろえる
・2017年4月 一般財団法人映画倫理機構になる

くわしく 成り立ち

映倫の公式ページによると、終戦後の1945年に日本を占領した連合軍総司令部(GHQ)は、当初、映画の公開を検閲していた。その後、ほかの報道機関と同じように、映画界に自主的な審査機関を作るよう示唆した。映画界はこれを受けて、1949年に映画倫理規程を作った。
1956年には、石原慎太郎原作の『太陽の季節』などが、若者の享楽的な風俗を描いたとして問題になった。各地の青少年健全育成条例で18歳未満の観覧が禁じられ、新聞各紙は映倫の審査を批判した。文部省が規制のための法案を準備するまでに至ったと、映倫の公式ページは書く。こうして1956年12月に、委員を外部の有識者に委嘱し、映画界から運営を切り離した新しい映倫が発足し、これが現在の映倫につながっている。

くわしく 四つの区分

現在の区分はG、PG12、R15+、R18+の四つである。Gは全年齢が観られる。PG12は、12歳未満の観覧には成人の保護者の助言や指導が適当とされる。R15+は15歳未満の入場と観覧を禁じる。R18+は18歳未満を禁じる。映倫の公式ページには区分の細かな定義がPDFで公開されているが、内容は画像の形式で、本稿では読み取れなかった。ここで書いたPG12、R15+、R18+の説明は、事典の記述による。
審査は公開の前に行う。日本映画の場合、脚本の段階から検討し、作品によってはラッシュ版の審査をして、本審査で区分と理由を決める。申請者が結果に異議があれば、再審査を申し立てることができる。審査の費用は上映時間に基づいて計算され、運営費は審査料だけで賄い、外部の補助は受けない。審査する本数は年に1,000本以上ある。2025年の審査は1,226本で、日本映画が644本、外国映画が582本だった。日本映画の区分別の内訳は、Gが523、PG12が61、R15+が31、R18+が29だった。
内容がR18+の基準を超える作品は「区分適用外」となり、審査が終わらず、区分指定書も出ない。映倫マークも使えない。区分のマークは、ポスターなどに、本編の審査が終わった後で表示する。

くわしく 検閲との違い

映倫の公式ページは、映倫を国家や占領軍による検閲ではなく、映画界の自主規制と位置づける。さらに、映画界から独立した第三者が運営している。1980年の日活ロマンポルノ裁判では、裁判所が映倫を、自主的な機関として倫理水準の維持に成果を上げてきたと評価したと、映倫は説明する。
事典によれば、映倫の区分は法律上の強制力を持たない。ただし、R18+の作品は地上波テレビで放送できず、広告も難しくなるため、公開できる映画館が大きく減ることが多いという。映画館の入場制限は、映倫の区分とは別に、都道府県の青少年健全育成条例や映画館ごとの自主規制で行われる。

なぜ今も語られるのか

表現の自由を守ることと、青少年を守ることの二つを、国が決めるか、業界自身が決めるかという問題は、今も続いている。映倫の成り立ちは、外から規制が入る前に、自分たちで決めるという選択の記録でもある。

評価の分かれる点

映倫の審査が実質的な検閲にならないか、という議論はある。事典によれば、2022年の映倫の発言で、脚本段階での審査を拒否することは「検閲」になってしまう、という趣旨が述べられている。脚本段階の検討と審査拒否の線引きは、事典の記述だけでは詳しく分からない。1990年代や2000年代の基準の変化(性表現、暴力表現の扱い)について、事典は触れるが、詳細は確かめていない。

くらさんの考察

太陽族映画の際の批判は、業界が自主規制を続ける動機になった出来事だと考えられる。映倫が運営を外部に任せたことで、検閲との距離を保とうとしたとも読める。

ジージへの問いかけ

・子どもの頃や若い頃に、年齢で映画館に入れなかった経験はありますか。
・『太陽の季節』の頃の騒ぎを、覚えていますか。

出典

・映倫(映画倫理機構)トップ https://www.eirin.jp/
・映倫の概要(映画倫理機構) https://www.eirin.jp/outline/index.html
・審査の流れ(映画倫理機構) https://www.eirin.jp/examination/index.html
・活動報告(映画倫理機構) https://www.eirin.jp/report/index.html
・映画倫理委員会(Wikipedia) https://ja.wikipedia.org/wiki/映画倫理委員会
・映画のレイティングシステム(Wikipedia) https://ja.wikipedia.org/wiki/映画のレイティングシステム

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