No.107新着 渥美清 『男はつらいよ』の寅さんになる前と後
渥美清(1928〜1996)は、1969年に始まった『男はつらいよ』で車寅次郎を演じた。シリーズは50作、実質の遺作は1995年の第48作。寅さん以前の仕事、受賞、寅さんと素顔の見方の違いをまとめる。
本文と出典
あらまし
渥美清は1928年3月10日に生まれ、1996年8月4日に68歳で亡くなった。『男はつらいよ』シリーズで車寅次郎を演じたことで知られる。ウィキペディアには出典不足の警告が付いており、日付や逸話の一部は資料で食い違うとされる。この記事は、複数の資料で確かめられる部分に絞って書く。
主なできごと
・1946年 舞台に初出演(チョイ役)
・1958年 映画『おトラさん大繁盛』でデビューしたとされる
・1961年 『水溜り』で倍賞千恵子と初共演
・1962年 『あいつばかりが何故もてる』で映画初主演
・1963年 『拝啓天皇陛下様』。名声を確立
・1969年 『男はつらいよ』第1作
・1983年 ブルーリボン賞主演男優賞
・1995年 第48作『寅次郎紅の花』。実質の遺作
・1996年 国民栄誉賞(没後)
寅さん以前
デビューの時期には資料による食い違いがある。テレビは日本テレビの『すいれん夫人とバラ娘』が最初とされるが、放送は1956年とも1957年とも書かれている。映画では、1958年の『おトラさん大繁盛』でデビューしたとされるが、映画出演の一覧には載っていない。1960年以降は多くの喜劇に出た。1962年に初主演、1963年の『拝啓天皇陛下様』で、俳優としての名声を確立したとされる。1967年に東映の「列車シリーズ」の『喜劇急行列車』にも出た。
男はつらいよ
第1作は1969年である。全50作で、1969年から1995年まで、1997年、2019年の作品がある。1997年と2019年は、生前の映像を使った出演である。長年の中心的な制作者は山田洋次とされる。笠智衆は柴又帝釈天の御前様、倍賞千恵子は妹のさくら役で、渥美との付き合いは『水溜り』からだった。実質の遺作は、1995年の第48作『寅次郎紅の花』である。病状が重い中で第48作まで出たことについて、山田洋次が後悔を語ったとされる。
喜劇役者としての出発
最初の映画出演の時期をめぐる資料の食い違いは、すでに述べたとおりである。確かなのは、1960年に『若社長と爆発娘』などの喜劇に出はじめ、その後も数多くの作品に出たことである。1962年の『あいつばかりが何故もてる』が映画初主演で、1963年の『拝啓天皇陛下様』は、俳優としての名声を確立した作品と記されている。喜劇だけでなく、人情味のある役でも評価を固めてから、1969年を迎えたことになる。
ほかの仕事
1966年の『沓掛時次郎 遊侠一匹』では身延の朝吉を演じ、時代劇にも出ている。1961年の『水溜り』では、その後も続く倍賞千恵子との初共演があった。舞台では1946年に『阿部定一代記』のチョイ役で初めて出たとされるが、タイトルの表記は資料によって『阿部サダ一代記』ともある。喜劇だけでなく、さまざまな種類の仕事を重ねてから寅さんに行き着いたことがうかがえる。
シリーズの数え方
「50作」には数え方がある。1969年から1995年までの48作に加え、1997年と2019年の2作は、生前の映像を使った出演として数えられている。実質の遺作は第48作である。数字だけを見ると50だが、渥美が実際に演じた新作は48本と考えるのが、記述に沿った読み方だろう。
賞
ブルーリボン賞主演男優賞を1983年、毎日映画コンクール男優主演賞とキネマ旬報ベスト・テン男優賞を1970年に受けた。芸術選奨文部大臣賞は1972年、紫綬褒章は1988年。国民栄誉賞は1996年、没後に授与された。俳優では長谷川一夫に次いで2人目とされる。晩年は「風天」の俳号で句を詠み、『赤とんぼ 渥美清句集』が出ている。
評価の分かれる点
スクリーンの寅さんと、私生活の渥美清は違うと言われている。ウィキペディアにも、画面上の社交的な寅さんと、他人との交わりを避けた実像との違いが指摘されている。私生活の詳細は出典が確かでないため、これ以上は書かない。
もう一つは、寅さん以外の仕事の評価である。東映での喜劇路線は伸びなかったという見方と、松竹に移ったことが成功だったという見方がある。寅さん以外の役はイメージが固定して、成功が限られたとも語られている。経歴にも異説が多く、学歴などは一定しない。
くらさんの考察
50作というシリーズは、1人の俳優がほぼ全編を支えた例として珍しいと考えられる。渥美が亡くなってからの1997年と2019年は、過去の映像を使った出演になる。観客が、画面の中にいる人を「寅さん」と呼びつづけたことの現れではないか。一方、寅さん以前の喜劇作品は、今は見る機会が少ない。『拝啓天皇陛下様』のような作品を見直す価値はあるが、現在の入手のしやすさは確かめていない。
ジージへの問いかけ
・『男はつらいよ』の第1作を、封切りのころに見ましたか。
・シリーズの中で、いちばん好きな作品はどれでしょうか。
・寅さん以外の渥美清を、見たことはありますか。
出典
・ウィキペディア「渥美清」 https://ja.wikipedia.org/wiki/渥美清
動画
・映画『男はつらいよ』(第1作)予告編映像/4Kデジタル修復版ブルーレイ2019年12月5日リリース(松竹チャンネル/SHOCHIKUch)https://www.youtube.com/watch?v=KqSw6_wuv3E
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