No.7新着 2000年以降の映画 シネコンと製作委員会、コロナ禍を越えて最高の年へ
2000年以降はシネコンが主流になり、製作委員会方式とアニメ映画の大ヒットが興行を支えた。2020年にコロナ禍で入場者が1億610万人台まで落ち、2025年に映連の統計で興行収入が2,744億円と最高になった。2026年の上半期は、ディズニーの洋画と『名探偵コナン』がけん引している。
本文と出典
あらまし
2000年以降の日本映画は、シネコンで見る、製作委員会で作る、アニメが記録を更新する、という三つの特徴を持つ。2020年のコロナ禍で興行は大きく落ちたが、『鬼滅の刃』の大ヒットで回復の足がかりを得た。2025年に年間の興行収入は2,744億円となり、映連の発表で過去最高を更新した。
主なできごと
・2001年 『千と千尋の神隠し』が日本の歴代興行収入1位(316億8,000万円)に
・2002年 日本全体のスクリーンに占めるシネコンの割合が5割を超える
・2003年 東宝がヴァージンシネマズを買収し、TOHOシネマズとなる
・2006年 邦画の興行収入が洋画を上回る(21年ぶり)
・2008年 『おくりびと』が日本映画で初めてアカデミー外国語映画賞
・2010年 年間興行収入2,207億円(当時の最高)。デジタル上映への転換が進む
・2016年 『君の名は。』『シン・ゴジラ』がヒット。年間2,355億円
・2019年 年間2,611億8,000万円
・2020年 コロナ禍で年間1,432億8,500万円に半減。12月28日、『鬼滅の刃 無限列車編』が『千と千尋』を抜く
・2024年 年間2,069億8,300万円。邦画1位は『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』(158億円)
・2025年 年間2,744億円。『鬼滅の刃』無限城編が391億4,000万円、『国宝』が195億5,000万円
・2026年 上半期はディズニーの『ズートピア2』と『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』が100億円を超える
くわしく
シネコンの全盛
映連のデータ(2000年以降の発表は興行収入のみ)では、スクリーン数は2000年の2,524から2007年に3,221となり、2025年は3,697である。シネコンの割合は2000年に4割強、2002年に5割超、2009年以降は8割を超えた。大都市の従来の映画館は、2001年以降にシネコン型へ置き換わった。2003年にはTOHOシネマズが生まれ、業界は再編された。同じ時期に、全席指定と入れ替え制が主流になった。
製作委員会とテレビ局
製作委員会方式は、複数の会社が出資して権利を共有する仕組みで、リスクを分けられる。一方で、権利の整理が複雑になり、アニメ制作者への報酬が低いといった批判もある。テレビ局が製作に加わる例は、1983年のフジテレビ製作『南極物語』や、1997年の日本テレビが参加した『もののけ姫』など、2000年代より前から見られる。2003年の『踊る大捜査線 THE MOVIE 2』は173億5,000万円を記録し、現在も実写邦画の歴代上位にある。
記録の更新とコロナ禍
『千と千尋の神隠し』は316億8,000万円で2001年に日本の歴代1位となり、長く首位にあった。2019年の年間興行収入は2,611億8,000万円で、2020年は1,432億8,500万円、入場者は約1億610万人となり、映連の統計では1955年以降で最少になった。この年の10月に公開された『鬼滅の刃 無限列車編』は、12月28日に324億7,000万円で『千と千尋』を抜き、のちに興行通信社の集計で407億5,000万円となった。2023年の年間は2,215億円まで戻り、2024年は2,069億円だった。
最近の動き
映連の発表では、2024年は洋画が511億円(前年比69.8%)と落ち、邦画は1,558億円だった。邦画の構成比は75.3%である。洋画の不振について、映連の島谷能成会長は2023年の米国の脚本家・俳優組合のストライキで作品がそろわなかったことを挙げた。2025年は、映連が2026年1月28日に年間の興行収入2,744億円(前年比32.6%増)、入場者1億8,875万人を発表した。邦画は2,075億円、洋画は668億円で、これまでの最高だった2019年の2,611億円を上回った。『鬼滅の刃』無限城編は391億4,000万円、『国宝』は195億5,000万円で、上位4作が100億円を超えた。2026年は、映画.comの7月18日付の集計(2025年12月1日から2026年6月30日公開分)で、『ズートピア2』が157億4,000万円、『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』が135億7,000万円だった。100億円を超えたのは2作だけで、10億円を超えた22本のうち9本が洋画だった。これは映連の発表ではなく、同サイトの集計である。
配信の台頭
動画配信の市場は、GEM Partnersの推計で、定額制動画配信の国内市場が2024年に5,262億円、2025年に6,017億円(前年比14.3%増)とされる。2025年のシェアはNetflixが27.1%で、U-NEXT、Prime Videoが続く。成長の主因は利用者数の増加ではなく、価格改定による単価の上昇と、一人あたりの利用サービス数の増加だとされる。映画の興行収入と同じ物差しで比べられる数字ではないが、2025年の劇場の記録と並行して、家庭で見る市場も伸びていることは確かめられる。
なぜ今も語られるのか
アニメ映画への集中が目立つ。興行通信社の集計では、2025年9月時点の歴代上位20本のうち14本がアニメで、実写邦画の最上位は『踊る大捜査線 THE MOVIE 2』の11位だった(この時点で『国宝』は19位で142億7,000万円。のちに195億5,000万円に伸びた)。
評価の分かれる点
「記録」は数え方で変わる。『もののけ姫』の興行収入は、公開時の193億円から再上映を含めて214.6億円になり、再上映分を含めるかで順位が動く。映連の統計と興行通信社の集計も、対象と集計日が異なるため、同じ作品でも数字が合わないことがある。邦画の好調を「アニメ頼み」とみるか、「実写の『国宝』も伸びた」とみるかも分かれる。
くらさんの考察
入場者が1億人台の後半に戻った2025年は、高い数字そのものより、年齢層が広がったことに意味があると考えられる。映連会長はシニア層を含めて老若男女が来たことを挙げている。2026年の上半期に洋画が強かったことは、2025年が特別な「大豊作」の年だった可能性を示すが、一年分の結果が出るまで判断できない。
ジージへの問いかけ
・ジージは最近、映画館と配信のどちらで映画を見ることが多いですか。
・『国宝』のような実写の大作が当たったことを、どう受け止めますか。
・昔の映画館とシネコンを比べて、変わらないと思うことは何ですか。
出典
・映連「日本の映画産業データ(1955〜2025年)」 https://www.eiren.org/toukei/data.html
・秋田魁新報(共同通信)「国内映画興収、最高2744億円」 https://www.sakigake.jp/news/article/20260128CO0081/
・Hollywood Reporter Japan「2024年の年間興収は2069億円」 https://hollywoodreporter.jp/business/90661/
・nippon.com「『鬼滅の刃』無限城編が歴代2位に」 https://www.nippon.com/ja/japan-data/h02537/
・CNN.co.jp「映画『鬼滅の刃』が国内興収歴代1位に」 https://www.cnn.co.jp/showbiz/35164490.html
・映画.com「26年上半期・10億円超の国内映画ランキング」 https://eiga.com/news/20260718/5/
・Web担当者Forum「サブスク動画市場の成長が再加速」 https://webtan.impress.co.jp/n/2026/03/23/52363
・ウィキペディア「シネマコンプレックス」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%8D%E3%83%9E%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9
・ウィキペディア「製作委員会方式」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A3%BD%E4%BD%9C%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A%E6%96%B9%E5%BC%8F
動画
・2020年の映画興行収入 コロナの影響で過去最低の1432億円(TBS NEWS DIG Powered by JNN)https://www.youtube.com/watch?v=otQQ8MBRzEs
関連動画
この記事を読んで浮かんだ疑問は、運営者ジージが映画QAでくらさんに質問し、答えをそこに載せていきます。