No.83新着 ゴジラ(東宝・1954年) 水爆実験の年に生まれた、最初の怪獣映画
1954年11月3日に東宝が公開した本多猪四郎監督の特撮映画。第五福竜丸事件の年に企画され、製作費は約1億円、配給収入は1億5214万円だった。アメリカ向けの再編集版も作られた。
本文と出典
あらまし
『ゴジラ』は、1954年11月3日に東宝が製作・配給した白黒の特撮映画である。上映時間は97分。監督は本多猪四郎、特殊技術は円谷英二、音楽は伊福部昭、製作は田中友幸、原作は香山滋、脚本は村田武雄と本多、撮影は玉井正夫。出演は宝田明、河内桃子、平田昭彦、志村喬など。
水爆実験で目覚めた巨大な生き物が、日本に上陸して東京を襲う。前半はゴジラの姿を直接は見せず、後半に破壊の場面が続く構成である。
主なできごと
・1954年3月 ビキニ環礁の核実験と第五福竜丸の被爆事件。日尼合作映画の企画がインドネシア政府の反対で頓挫する
・1954年 田中友幸が代わりの企画を立て、仮題『海底二万哩から来た大怪獣』が生まれる
・1954年11月3日 日本で公開
・1956年 アメリカ向けに追加撮影と再編集した『Godzilla, King of the Monsters!』が公開される
・2004年 アメリカで日本版の完全版が上映される
くわしく 生まれたいきさつ
田中友幸は、日尼合作映画の企画が1954年3月にインドネシア政府の反対で頓挫したあと、代わりの企画を立てた。同じ月のビキニ環礁での核実験と第五福竜丸の被爆事件に着想を得て、水爆実験で目覚めた恐竜が日本を襲う構想にした。仮題は『海底二万哩から来た大怪獣』である。森岩雄が企画を強く支持し、実現に至った。
「ゴジラ」の名は、「ゴリラ」と「クジラ」を合わせたもので、佐藤一郎の提案によるとされる。
くわしく 撮影と音楽
円谷英二は、人形を一コマずつ動かす方式ではなく、中に人が入るぬいぐるみ方式を選んだ。公開日から逆算した判断だとされる。ゴジラ役は中島春雄が務めた。市街地のミニチュアは25分の1に統一し、国会議事堂は33分の1で作った。合成は、円谷が戦前に自作した手動式の光学焼付機を使い、現場でマスクをかける方法で行った。
音楽の伊福部昭は、大きなものを大きな音で表す正攻法で作曲した。メインタイトルのテーマは、のちの平成ゴジラシリーズにも受け継がれた。
なぜ今も語られるのか
製作費は約1億円、配給収入は1億5214万円、観客動員は961万人と記録される。公開時は特撮が絶賛された一方、「ゲテモノ映画」と酷評されることも多く、人間ドラマの部分は「余計」とされて、本多の意図は十分に評価されなかった。三島由紀夫が原爆の恐怖の描写と文明批判を評価した話などが残っている。
海外では、1956年にハリウッド資本で追加撮影と再編集が行われ、レイモンド・バー主演で『Godzilla, King of the Monsters!』が公開された。政治的なメッセージは丸ごとカットされたとされる。日本版の完全版がアメリカで上映されたのは2004年で、現地で高く評価された。
評価の分かれる点
反戦・反核というテーマの読み方は、一致していない。本多は戦争と核兵器の恐ろしさを真正面から訴えたとしている。一方、映画評論家の樋口尚文は、本多から空襲の暗示を否定する証言を得たとして、反戦・反核論に否定的な見解を示している。東京の襲撃が東京大空襲の再現だとする説にも、厳密には同じルートではないという指摘がある。
劇中の山根博士の台詞は、ゴジラの生きていた年代を200万年前とするが、実際のジュラ紀とは異なる。誤りだとする見方と、意図的な設定だとする見方がある。
くわしく 公開当時の空気
公開時、「ゴジラか科学兵器か驚異と戦慄の一大攻防戦」というキャッチコピーが付けられた。ロケは三重県鳥羽市の石鏡町で行い、大戸島の場面に使っている。
作品の評価は、のちに三島由紀夫、小津安二郎、手塚治虫、淀川長治、水木しげるらが高く評価した、とウィキペディアは書く。竹内博は、演出・脚本・特撮のいずれも最上の出来で、これを超える日本の怪獣映画はないとしている。
1986年のチェルノブイリ原発事故のあと、フランスでこの映画が再評価されたという記述もある。作られた時代だけでなく、見られる時代によって読み方が変わる映画である。
くわしく 日本での受け止めの順序
田中友幸と本多は、「欧州で認められ、米国で大ヒットしたことで日本国内の評価が定まった」と見ていた、と紹介されている。国内の新聞批評が割れていたことを考えると、海外での受け止めが、国内の評価の変化にも影響したと考えられる。
くらさんの考察
水爆実験の年の企画から公開日までの期間は短い。そのなかで着ぐるみ方式が選ばれたのは、技術の選択が日程に左右された例だと考えられる。
反核のテーマは製作者自身の証言でも一致しないため、一つの意味に決めて見るより、複数の読みが成り立つ映画として扱うのが妥当だろう。
ジージへの問いかけ
・1954年、ジージは当時何歳でしたか。ビキニ環礁の事件の記憶はありますか。
・この映画を最初に見たとき、怖かったですか、悲しかったですか。
・アメリカ版と日本版のどちらも見たことがありますか。
出典
・ウィキペディア「ゴジラ (1954年の映画)」 https://ja.wikipedia.org/wiki/ゴジラ_(1954年の映画)
動画
・『ゴジラ』(1954)予告篇 / DVD&Blu-ray発売中!(東宝クラシックス)https://www.youtube.com/watch?v=vwUsKuUQeOo
関連動画
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