No.89新着 おくりびと(松竹・2008年) 納棺という仕事を、静かな物語にした
納棺師という職業を描き、2008年9月13日に公開された滝田洋二郎監督の映画。本木雅弘が青木新門の『納棺夫日記』に感銘を受けたことが企画の出発点になった。2009年のアカデミー賞外国語映画賞を受け、公開から半年後に興行が大きく伸びた。
本文と出典
あらまし
『おくりびと』は、滝田洋二郎が監督し、小山薫堂が脚本を書いた映画である。主演は本木雅弘。配給は松竹で、制作プロダクションはセディックインターナショナル。公開は2008年9月13日、上映時間は130分とされる。
楽団の解散で職を失った男が、故郷で納棺の仕事に就く。筋の紹介はここまでにする。
主なできごと
・1993年 青木新門『納棺夫日記』が刊行された
・1996年 本木雅弘が青木宅を訪ね、映画化を申し出た
・2008年9月13日 日本で公開(220館)
・2008年 第32回モントリオール世界映画祭でグランプリ
・2009年2月22日 第81回アカデミー賞で外国語映画賞
・2009年5月29日 米国で公開
生まれたいきさつ
ウィキペディアによると、本木は1996年に青木新門の『納棺夫日記』に感銘を受け、青木の自宅を訪ねて映画化の許可を求めた。ところが、できあがった脚本は舞台が富山ではなく山形になり、結末や宗教観も原作と違っていた。青木は映画化を断った。
その後も本木は青木を訪ね、青木の「まったく別の作品として」という意向を受けて、題が『おくりびと』に改められ、別の作品として作られた。原作との関係はこうした経過をたどったと記録されている。
製作の体制
ウィキペディアによると、製作はTBSテレビ、松竹、電通、MBS、朝日新聞社など十社を超える製作委員会が担った。1本の映画に多くの会社が出資する形で、日本の映画製作では一般的な形の一つである。
撮影
舞台は山形県の庄内地方で、酒田市・鶴岡市・上山市などで撮影された。一部はにっかつ撮影所のセットも使った。原作の舞台の富山県はロケ地にならず、受賞後には富山県議会で、誘致に向けた姿勢が問われたと記される。
興行の伸び方
公開の初週末は動員29万0451人、興収3億4854万8500円で、週末ランキングは5位だった。ここから伸びる。2009年2月のアカデミー賞受賞の後、2月28日と3月1日の週末に首位になった。公開25週目での初の首位とウィキペディアは記す。
累計は2009年2月末で38億4000万円とされ、4月には60億円を超えると発表された。日本映画製作者連盟の2008年のデータでは、興行収入64.8億円と記載されている。数字は出典ごとに少し違う。
受賞は、アカデミー賞のほか、日本アカデミー賞でも最優秀作品賞・監督賞・脚本賞・主演男優賞などを受けた。アカデミー賞の外国語映画賞は、米国アカデミーの公式サイトで、2009年2月22日の式で日本の『おくりびと』が受賞したと確認できる。同じ年の候補は『バーダー・マインホフ 理想の果てに』『クラス』『リヴァンシュ』『戦場でワルツを』だった。
海外での公開
ウィキペディアに記された公開日は、台湾が2009年2月27日、香港が3月19日、米国が5月29日、フランスが6月3日、イタリアが2010年4月9日である。中国では2021年10月29日に4K修復版が公開された。アカデミー賞の受賞を機に、各国の公開が順に続いたことがわかる。
なぜ今も語られるのか
死を扱いながら、重くなりすぎない作りにしたことが、国内外の観客の理解を得たと考えられる。ウィキペディアは、劇中の美香の「汚らわしい」という反応を、納棺という仕事への偏見を描いた設定として説明する。偏見を描くことが、物語の動きに使われている。
また、受賞によって上映が公開25週目に首位へ戻ったことは、映画の寿命が賞によって延びる実例になった。
評価の分かれる点
「日本映画初のアカデミー外国語映画賞」という報道には、ウィキペディアが注記している。名誉賞だった時代に日本映画が3本受賞しており、1975年には黒澤明監督の『デルス・ウザーラ』(ソ連映画)が外国語映画賞を受けている。「初」の数え方は、何を賞に数えるかで変わる。
演出面では、遺体を素手で扱い消毒の場面がないことに、医学的に不衛生だという指摘があるともされる。ただし、これも出典はウィキペディアの記述にとどまる。
くらさんの考察
本木が許可を求めてから公開まで12年かかった。短くない期間に、作る側の考えが、原作に忠実な映画化から、別の作品へと切り替わったと考えられる。この過程そのものが、原作者と映画化の関係を考える材料になる。ただし、この経過はウィキペディアの記述に拠っており、当事者の証言を別に確かめたわけではない。
ジージへの問いかけ
・2009年の受賞のときのニュースを覚えていますか。映画館の様子は変わりましたか。
・原作とは別の作品として作ることを、どう思いますか。
・親しい人を送った経験と重ねて観ましたか。
出典
・おくりびと(ウィキペディア) https://ja.wikipedia.org/wiki/おくりびと
・第81回アカデミー賞(米国アカデミー公式サイト) https://www.oscars.org/oscars/ceremonies/2009
この記事を読んで浮かんだ疑問は、運営者ジージが映画QAでくらさんに質問し、答えをそこに載せていきます。